最終更新日2005/5/9
溢れ出すぎるエンドルフィン
関西のこぎりオーケストラ サキタハヂメ インタビュー
2005年 4/12 大阪 ギャラリー「千スペース」にて
関西のこぎりオーケストラのリーダーで、のこぎり演奏者でもあるサキタハヂメさんにお話を伺いました。
サキタ:サキタハヂメさん アキネ:アキネ・ルーさん (関西のこぎりオーケストラ)
○聞き手スタッフ:ウクレレ前田、べまき (アートマネジメントグループ)
●自分らでもわけのわからんほうに転がって行くのが、それが楽しい。
○はじめて見る人にとっては、あののこぎりは何なのか、種類はどれくらいあるのか、興味があると思うのですが、のこぎりはどんな種類があるのですか?
サキタ:けっこうありますね。今日使ってたのはそのうちの3種類くらいですか。おおきなのこぎりとちいさなのとか、ミディアムサイズというか、いろんな、ソプラノ・テナー・アルトとか。いちおう、その大きさで決まっているので。
○種類は3、4種類で。
サキタ:ほんまはもっと巨大なやつとか、もっと低音がでるやつとかね。ちっちゃいのは高音がでるのはけっこうあるんですけど、もっといろいろやりたいのですけどね。そんなのまず弾くやつがおらん、持ってるやつがまだおらん。
○大きいと扱いにくい?
サキタ:とどけへんからね。そうなんですよ。
○のこぎりオーケストラさんは設立というか、始められたのは何年前くらい前ですか?
サキタ:オーケストラ自体は始めたのは、その前に日本のこぎり音楽協会関西支部というのが今年で11年めなんですよ。だから10年か、のこぎりオーケストラは。まオーケストラというても、そのときはみんなに集まってもうて、わーっとやってる、というくらいの感じですけど。
○最初は何人くらい?
サキタ:最初は20人とか。でもメンバーはすごい入れ替わってますけどね。
○みなさんが始められたきっかけ、というのがたぶん一番聞く人には興味があると思うのですけど、のこぎり演奏を聴いて始められた方とか、ほかのジャンルでのこぎりに興味をもって始められた方とかいっぱいいると思うんですけど、今はどんな感じの人が多いんでしょうか?
サキタ:どうやろね。僕は教室をやっていて、そっちは僕がいろんなところで演奏するのを聞いて、という人もおるし。毎日新聞の毎日文化センターというところだから、毎日新聞を見て、というのも。こんなんあるわー言うて、誰がやっているのかも知らずに電話してきて、ということもありますけどね。アキネルはどうだったっけ?
アキネ:私はみんなのオーケストラのライブをみておもしろかったから。最初はチチさん(チチ松村さん)のファンで、チチさんが出るのこぎりのライブがあると友達からのお話を聞いて。
サキタ:僕は東京の都屋歌六師匠の演奏を聞いてなんですけど、やっぱなんかこう、誰かのなんか、おもしろそうー、で実際行ってみて、おもろーい!となって始めて。けっこうのこぎりの活動って、アメリカ行ったり、チェコ行ったり、韓国行ったり、自分らでもわけのわからんほうに転がって行くのが、それが楽しい。
アキネ:私も都屋歌六師匠ののこぎりを初めて聞いて、それまでみんなわりと学芸会っぽい感じで最初のころはやってて、あんまりまだそんなにうまくなかったら、すごくおもしろい感じで聞いててんけど、師匠のを聞いてすごいきれいと。それではじめようと。●すっごいむずかしい楽器なんですよ、ほんまにやっていくと。
○のこぎり音楽ってどう聴いたらいいのか、というか、笑いたくなるけども真剣にやってはるから黙って聞かないといけないのか、迷うところなんですけど。
サキタ:そうですね。そこがやっぱり僕も歌六師匠の演奏を初めて聞いて、笑っていいのか、泣いていいのか、わからなくなって(笑)。「泣き笑い」がすごくあるんですね。
○いろいろ楽器をされているとは思うのですけど、のこぎりに特別にひかれたというのはその「泣き笑い」ですか?
サキタ:僕は完全に「泣き笑い」ですね。藤山寛美さんがすごい好きなんで、むちゃくちゃ笑けて、泣けて、笑けて、泣けて、繰り返すのが好きなんですよ。
○今日の練習を見てても、緊張のなかに緩和があって、その落差が激しいのがおもしろいですね。
サキタ:今日は緩和しすぎてたというのがあって。僕が何も決めずに来た、みたいなところが悪かったなと思いながらやっててたんですけど。去年11月12日のやつの練習なんかもうきびしかったですよ。恐い、俺、恐〜い!メンバーは人前でやっている人もおるし、ぜんぜん人前でやらず、ただ好きでやっている人もおるから、そこもちゃんとお金をもらってやるというところの意識の統一ってすごい大事だし。
すっごいむずかしい楽器なんですよ、ほんまにやっていくと。結局なんのフレットもないから、ほんまにピッチをちゃんととろうと思うと、本気でクラシックの勉強をせんとできへんねんけど、そこまでのことを僕もできてないし、みんながこれからやるとなると、たぶんあと30年とか。そうじゃなくて、それ以外のところでなんか、かっこいいとか、きれいとか、楽しいとか、ということができるやろなーと思ってやっているところがすごいあるので。
あ、最近、教室に5月から子供が来んねん。
アキネ:親は?
サキタ:親は来ないねん。
アキネ:どこで聞いたん?
サキタ:おれらのライブで、習いたい!とか言って。
○第2世代の、第2のこぎり世代が生まれつつある、ということですね。
サキタ:なんかこう、一定のクラブに来ている娘らにしか、とか、僕としては一定のところに投げようとしている音楽をあまりしたいとは思わないんですよ。お年寄りもおるんですよ。70歳以上の人もいて。すごく幅広くて、そんな人らが同時におったらおもしろいんですよ。それは海外に行っても、言葉とかは向こうはチェコ語だし、私は日本語やけど、なんか通じる、みたいな。そういうのが広がっていくから、のこぎりというキーワードとしてやっていて、続けようと思ってたというか、気づいたらやっとった、みたいな。●別に越えんでいい壁を越えた、みたいなのがあって。
○今回エンドルフィン・ライブという名前をつけたのですけど、なんでエンドルフィンというタイトルにしたかというと、人間は大笑いしたときとか大泣きしたときとか、いい音楽を聴いたときというのはエンドルフィンという脳内の麻薬物質が出るらしいという話を聞いて、でして。のこぎりさんはおかしくもあるし、笑いもあるし、哀愁もあるし、ちゃんとした音楽でもあるということがあったので、今回出ていただきたかったところがあるのですけど。お二人の話を聞いていると、のこぎりに惹かれているのは表情が楽器にあるからなのかなと。「泣き笑い」、とさきほど言われたのですけど、普通の楽器にはない表情があるからいろんな人が集まってくるのかなと思いました。
サキタ:変なもん好きは..みんな変なもん好きですね。
アキネ:みんな好きなもんは似ているよね。
○それは、のこぎりキャラみたいな?
アキネ:のこぎり以外のことでも話が合うことが多い。
サキタ:見てる映画の種類とか、笑いのツボが近いところ(笑)。でもわからんな。これは大阪の俺らだから、かも。東京の人らとは違うから。「え?今なにがおかしかったん?」ということもあるからな。
○みなさんが一つになったらすごいことができるかもしれないですね。
サキタ:すごいと思いますよ。去年の11月はすごかったもんね。あれは2度とできへんわ(笑)。
○将来夢とかはありますか、とりあえず今回ココルームはゆるい感じでやっていただいて。
サキタ:ゆるいけどね、今までやったことをそのままやるのではない、という感じ。慣れてくると同じことを何回もやってりゃええ、みたいなことになるじゃないですか?毎回みんなにはご迷惑をおかけしているんですけど、突然違うことを言うみたいなことするんですよ、急に。そんなやると思ってなかった、みたいな。でもそうなるとみんなすごいがんばってくれたりして。別に越えんでいい壁を越えた、みたいなのがあって。「あ、壁越えたけど、この壁いらんかったやん!」みたいな。でもその先にちょっとおもろい、自分らでも、僕自身でも、どう舵をとっていいのかわからないというところがすごいあって。でもそこで一個またキラッとして、おもしろいほうに行っている感じが。
ただの素人団体では終わらせたくないところがあって、ふだんはみんなボーッとしている人らだけど、ステージに上がったら、「な、な、なんという空気を出すんや、君らは!」みたいな、そういう団体になっていければおもしろいなーという感じがありますけどね。
そのためにはやらなあかんことがいっぱいあって。バンドやってたり、オーケストラをやってたりするひとたちでは大半はないので、リズムの取り方から、ピッチの取り方からいろいろあって。崩せるけど、キッチリもできるというところをもっとちゃんとやりたいなと思っているんですけどね。むずかしい!
○じゃあ春以降もおもしろい企てがあると思っててもいいですね。
サキタ:そうですね、ピクニックをやりたいですね。
○え、ピクニック?
サキタ:アメリカのフェスティバルが半分ピクニックなんですよ。ピクニックとのこぎりコンテスト。近所の人が集まってきたりして、バーべキューをやったり。焼きマシュマロをやったり。「なんで、こんな、みんなマシュマロを焼いてるんだ!」っていうくらい。
アキネ:前夜祭とか、みんなキャンピングカーで行ったりとかして。
サキタ:けっこう世界中からいっぱい来てて、ずっとのこぎりを鼻の上にのせられるやつとか。
○日本でそれをやったら世界からいろんなのこぎりのアーチストが集まるかもしれないですね。
サキタ:アメリカからいろいろ呼びたいなーと思っているんだけど、それがメインというか、そういうゆるい楽しいフェスティバルを。去年のがよっぽどしんどかったんでしょう、やっぱり(笑)。●今回のやつはリズムをもっと強化して、テクノとかハウスとか、そういう感じで。
○(去年のフェスティバルは)オリンピックみたいな感じだったんですかね。
サキタ:そんな気分でしたね、自分の中では。
今回はリズムをもっと強化して、テクノとかハウスとか、そういう感じで。ほんま、エンドルフィンずーっと出て、ソーヤーズ・ハイみたいな、ずーっとたたいていて、くる、ガムラン団体みたいになりたいんです。今回は。笑える音なのにアナログ・シンセをほんまにやっているみたいな。もっとアナログやみたいな。
○私もちょっとYMOが聞こえてきました。
サキタ:そうでしょ!そう言うていただけると恐縮です(笑)。もっと正確にリズムをきざまなあかんやろけど。誰にも頼まれんことをやるのが好きなんですね。性格的に。言われたことをあまりやらないので怒られるんですね。
○逆に今はメソッドみたいなものがそれほどないから楽しめるということはないですか?
サキタ:「こう弾いたほうが..」とかいろいろできてきて、いろんなところで、いろんな人がちょくちょく始めだしているので、「やっぱりこれはこうしないとなー」ということになっていくんですかね。..そんなんいらんけどね!(笑)
アキネ:でも、のこぎりは可能性がめちゃめちゃあるから。ふつうの楽器はドはドだから。のこぎりはドがドがじゃないから。打楽器にもなるし。
サキタ:たぶんギターでもヴァイオリンでもなんでもそうだろうけど、最初はそういうふうにおもしろい原石があって始まって、もしかしたらもっと先にはいろんなメソッドができてきて、「あの歯は違う」とか「この歯は違う」とか「こういう練習は間違っている」というのがいっぱいできてきて、ちょっと宗教みたいになってきて。できるだけそういうふうにならないうちに死んでいきたいですね(笑)。ほんまもう、そんなん見たくないわ。(笑)
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