最終更新日2005/5/1
溢れ出すぎるエンドルフィン
NAOYUKI インタビュー 2005年 4/22 大阪 ストローハットにて
スタンダップ・コミックで出演されるNAOYUKIさんにお話を伺いました。
○聞き手スタッフ:ウクレレ前田、べまき (アートマネジメントグループ)
●始めはグルーチョ・マルクスに狂ってたから、僕は。
○まず、「スタンダップ」って何ですか?
NAOYUKI:
いろんな人や、自分の中の思い込みとかがあって、正確にこうであるという定義はないと思うのだけど、
ある人が本で書いたのは、「スタンダップ・コメディ」というのは、おもしろいことを言う人で、
「スタンダップ・コミック」というのは、事(こと)をおもしろく言う人、とあって。
要するに漫才のボケ役、道化師、クラウン的なものは「コメディ」で、
その物事自体はおかしくないのだけど、こう見ろだとか、自分が言うことによって
そのものがおかしく見えてしまったりするようなのが「コミック」なんじゃないかと自分なりに解釈している。
それと、漫談というのは、「昨日こんなことがあって..」みたいなんがそんなんかなーと思ったりもするし。
でも、全部漫談といやあ、漫談かもしれないけども。よくわからないですけど。
事をおもしろく言うのがそれであれば、たしかにそれはそうである、というのはありますね。
○スタンダップ・コミックにこだわっているのは、好きなアーチストがスタンダップ・コミックだった、ということですか?
NAOYUKI:
もともとマルクス兄弟が好きで。
マルクス兄弟のグルーチョ・マルクスというのが一番最初のスタンダップ・コメディアンと言われていて。
一人で舞台上に立って、何分か、一時間か、しゃべったことがあったのか、なかったのか、知らないけれども。
対談番組とかで、一方的にしゃべってやり込めたりだとか、90歳近くまでやってはって。
それまではアメリカって、コントだとか、そういう全体でやる出し物が多かったのだけど、あの人が始めて。
そういう風な、それの原点だと言われてはるんですわ。始めはグルーチョ・マルクスに狂ってたから、僕は。
○それは漫才を始められる前ですか?
NAOYUKI:
前ですね。コンビを完全に組む前ですね。
20歳くらいのとき、天満のアルファーという店でマルクス兄弟全部そろってたんですわ。ビデオで。
ハーポの『ラブ・ハッピー』とかもあって、マルクスの『競馬騒動』とか、わりとマニアックなやつまであって。
それを僕、三重県から通って、定期を買って。
その時は貴重なチーチ&チョンとかね、ドラッグを題材にしたコメディをしていたチームがいるんですよ。
(ロバート・)ロドリゲスの映画に出ているやつ。はじめ銀行強盗をするねんけど、行った先がバンパイアの館になっているやつ。なんやったけな...『フロムダスク・ティルドーン』!
あの前のところでワーッとしゃべっているやつがチーチ&チョンですわ。
だからタランティーノとかも好きなんちゃいます?その辺のヘンテコ・コメディとか。
そんなんもアルファーにあったんですわ。僕はめちゃくちゃあそこに通ってましたわ。
○ある意味、チャップリンとは対極のところですね。
NAOYUKI:
チャップリンは悪くはないと思うけど、上手でしょう。
マルクス兄弟も上手なんですよ。上手なんだけど、「イヤなもん見たわ〜」という感じでしたよ(笑)。始めはそっからですね。
オペラ(『オペラは踊る』)とかはものすごくええと言われているけど、オペラなんて生っちょろいと思うんですわ。
●なんで「いかん」と思ったのかわかれへん
○じゃあ、漫才をやる前にはすでにスタンダップ・コミックだったんですね。
NAOYUKI:
僕、もともと一人でやってましたから。ただ、自分の思っているように技術がついてけえへんかったから
あまり上手いようにしゃべられへんかったですけども。やりたい、という希望は初めからこれなんですわ。
○スタンダップコミックをやっているのは必然かもしれないですね。
NAOYUKI:
不思議なのはね、昨日も人に話してたんですけども、いつから人前でしゃべるようになった、うんぬんという話になって。
中学くらいのときに僕が父親や母親とかにお金をもらって、映画館に僕だけ行くんですよ。
2回見て、晩御飯食べた後に僕がそれを再生するんですよ。
それが僕の「しゃべる」ということの原体験やったと思いますわ。
1回見て、2回目はメモをとって、喫茶店に1回入って、どう構成するか考えて、晩飯時に帰って飯食って、
母親が、子供のやることやから、「おもしろい、上手やね〜」と言うわけですよ。
それがうれしくてやってたというのはありますね。
それで中学は人前で何かするというわけでなくて。中学一年のときに落語をやったことあったな..。
でも、あまり人前でワーワーとやる子じゃなかった。
高校のときに友達の生徒会の応援演説で、ちょっとちょげたやつが出ろとか言われて、おもしろいやつを出してくれ、と。
出てんけど結局何もしゃべらんかって。緊張して。
それで袖のときに「このままでは俺はいかん!」と思うてんけど、なんで「いかん」と思ったのかわかれへん(笑)。
要するに僕はこないになりたかったと思ったわけではなかった。
しゃべる商売をしたいとそのときは全然思ってなかった。
これはなぜか「いかん」と思って、
「これはしゃべるということは大変だから、バンドとかやったら人前で出るのに出てったらどうや?」と。
別に人前に出なくていいのにそう思ってたんですね(笑)。
わけわからへん。なんでそうな風に思ったのか。
めっちゃなりたかったわけやなかったですし。なんじゃかんじゃで。
●最終的に人の話をしたいですね
○将来はスタンダップをどういうふうにしていきたいですか?
NAOYUKI:
何かを一つテーマをしぼって、それについて何かをしゃべっていこうとはあんまり思ってない。
最終的には人間とかの話をしていきたいと思うんですけど。
テーマ的に政治とか、下ネタとか、そういうありがちなことを集中してやろうとはあまり思わないですね。
たとえばニュースを見て、おかしいなと思ったらそれをしゃべりたいと思うし、
生活の中で何かあればそれをしゃべっていいやろと思うし。
ただ、やっぱりなんか、自分の中で自分の思うてるようにしゃべりたい。
自分の言葉で、相手に対して圧力なんか、影響力なんか、思わぬ考え方とか、そういうものを持って帰ってもらいたい、というのはあります。
笑福亭恭瓶と東京のシンゴという人と3人で「スタンダップ・コメディ」というライブをやったことがあって、
そのときに3人で「何が違うんやろ、漫談と」という話をしゃべったときに
さっき言った話をどうこうと、もう一つ、
「持って帰ってもらえるか、持って帰ってもらわれへんか」とちゃうかーという話になって。
向こうは、「そうかー」「そういうことか」「そういう考え方もあるか」、と持って帰ってもらう、と。
おみやげがあると。笑うだけやなくて、笑って頭の中で考えてたら、
「コワイこと言うてたなー」「笑ってたけど、そういうことなのかー」という感じで
あとで引っ張っていけるものがあるか、というところが勝負ちゃうかー、という話はしてたんですけど。
○記憶に残るのか残らないのか、にこだわっているというか。
NAOYUKI:
そうでありたいと思います。
○今回のライブは楽しい漫談を期待したお客さんがショックを受けて帰るというのが理想的?
NAOYUKI:
そういうふうにネタをコーディネートしようと思ってます。
あまり「どうもー」というようなをことをせんとこかなと思ってます。
こういうイベントですから、そんなに全部が笑いを欲して来ているわけじゃないから。
キツめの話をするかもしれないし、それはそれでいいかな、と。
憲法9条の話かてそうじゃないですか。あれは平和うんぬんとか言うてるけど、
僕はそれに反対している人をめちゃくちゃに言う、というネタになっているから。
そんなんも入れつつ。
○期待してます。
NAOYUKI:
いやー、どうかなー。これは僕はインチキっぽいことを言うのは得意だけれども。
意外と「どうもどうもー、こないだねー」と言うかもしれへんし、天の邪鬼がわからないけれども。
最終的に人の話をしたいですね。人間のイヤさかげんとか、ドロドロした、そういう話をね。
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